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貨物自動車運送事業の改正と影響

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令和7年6月可決!新改正貨物自動車運送事業法でどうなる許可更新制!?

令和7年6月可決!新改正貨物自動車運送事業法でどうなる許可更新制!?

2025/06/05

本記事をご覧いただきありがとうございます。

行政書士の名越です。

 

ここ最近、同業者の間で非常に話題になっていた許可更新制を伴う貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案が参議院で賛成多数で可決され、法案が成立しました。

施行はまだしばらく先になると思いますが、業界団体肝いりの本改正内容がどのようなものなのか、法律案から見える内容を基にご紹介したいと思います。

目次

    「真荷主」の定義

    まずは真荷主の定義です。2025年4月1日施行の貨物自動車運送事業法ではすでに定義されているのですが、改めておさらいです。

    「自らの事業に関して貨物自動車運送事業者または貨物利用運送事業者(第一種貨物利用運送事業者、第二種貨物利用運送事業者、外国人国際第二種貨物利用運送事業者)との間で運送契約を締結して貨物の運送を委託する者のうち、貨物自動車運送事業者または貨物利用運送事業者以外のもの」

     

    定義の要素としては2点です。

    ①自社製品等の運送を他社に委託している

    ②自社は貨物自動車運送事業や貨物利用運送事業の許可・登録を受けていない

     

    図にするとこんな感じ。

    オレンジの部分が真荷主となります。

    委託の制限

    次に委託の制限です。

    「一般貨物自動車運送事業者は、真荷主(自らの事業に関して貨物自動車運送事業者または貨物利用運送事業者ではない者で、運送契約を締結して貨物の運送を委託する者)から引き受けた貨物の運送について、他の貨物自動車運送事業者が行う運送(自動車を使用しない貨物運送契約を除く)を利用する場合、当該貨物の運送について当該他の貨物自動車運送事業者からの二段階以上にわたる委託を制限するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」

    何次請けまでに留めるよう努力義務が課されているの?という感じですが、整理しますと、

     

    ①登場人物はA真荷主、B一般貨物自動車運送事業者、C他の貨物自動車運送事業者

    ②努力義務の対象者は、Bの一般貨物自動車運送事業者

    ③Cからの二段階以上にわたる委託を制限するために必要な措置を講ずる。

     

    つまり、Bから見て2次請けまでとなります。ちなみにBが貨物利用運送事業者になった場合も同様です。

    あくまで努力義務ですが、「実運送体制管理簿」のことも考えますと多重下請は把握が事務負担になります。

    商慣習的にも子が親を飛び越えることになるので、なじまない部分も出てくるでしょう。

     

    様々な意見を目にするのですが、「実運送体制管理簿」の不備・未記録には行政処分が伴います。

    いずれ別記事にて解説したいと思っています。

    貨物自動車運送事業許可の更新について

    今改正の最大のポイント、許可の更新について

    まずは改正条文を全文引用します。

    (許可の更新)

    第六条の二 第三条(※1)の許可は、国土交通省令で定めるところにより五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。

    2 前項の許可の更新の申請があった場合において、同項の期間(以下この条において「有効期間」という。)の満了の日までに当該申請に対する処分がなされないときは、従前の第三条の許可は、有効期間の満了後もその処分がなされるまでの間は、なおその効力を有する。

    3 前項の場合において、第一項の許可の更新がなされたときは、その有効期間は、従前の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。

    4 国土交通大臣は、別に法律で定める独立行政法人(括弧内省略)に、国土交通省令で定めるところにより、第一項の許可の更新に関する事務の一部を行わせることができる。

    5 前三条の規定は、第一項の許可の更新について準用する。

    (※1)一般貨物自動車運送事業を経営しようとする者は、国土交通大臣の許可を受けなければならない。

     

    明確な点は、

    ①5年ごとに更新しなければならない。

    ②許可期間内に更新申請をすれば、許可期間経過後も許可があるとみなされる。

    ③許可期間は元の許可満了日の翌日から5年間となる。②でのみなし許可の期間も5年間に含まれる。

    ④独立行政法人が審査事務の一部を行う。

     

    バスの更新制度が先行して行われており、審査が1年以上かかっています。すでに事務処理がパンクしているように思えます。

    バス事業者は全国で約5000社、トラック事業者は約60000社以上と運輸局が事務処理を行えないのではと懸念していたのですが、どうやら外郭団体を置くようですね。それでも人員はどうやって確保するのでしょうか。国交省OB、現役職員やトラック協会から出向させるのでしょうか。

    実はもう一つ関連法案が一緒に可決されておりまして、「貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律案」というものがあります。そちらの方でも更新について条文があるのでこちらも引用します。

    第四条 貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等は、次に掲げる基本方針に基づき、推進されるものとする。

    一 次に掲げる貨物自動車運送事業の適正化に関する業務を一の独立行政法人に行わせるとともに、当該業務がその独立行政法人により適切かつ効率的に実施されることとなるよう、必要な体制の整備を行うこと。

    イ 一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業(それぞれ貨物自動車運送事業法第二条第二項及び第三項に規定する一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業をいう。)の許可の更新に関する事務の一部であって、独立行政法人に行わせることが適当なもの

    ロ 貨物自動車運送に係る安全性の向上、輸送効率の向上及び事業の用に供する自動車の運転者の経済的社会的地位の向上その他貨物自動車運送事業の適正化並びにこれらを通じた将来にわたる貨物自動車運送に係る輸送需要に対応した適正な輸送力の確保その他の持続可能な物資の流通の確保に資する取組への支援に関する業務

    二 前号イ及びロに掲げる業務の費用に係る財源の確保について、次に掲げるところによること。

    イ 独立行政法人に前号イに掲げる業務を行わせるために必要な費用は、国庫が負担することとし、その財源は、同号イの許可の更新に係る手数料による収入その他の収入を活用して、確保すること。

    ロ 独立行政法人に前号ロに掲げる業務を行わせるために必要な費用を確保することができるよう、その財源について、貨物自動車運送事業の適正化とこれを通じた持続可能な物資の流通の確保を広く社会で支える観点から幅広く検討を行うこと。

    三 第一号イ及びロに掲げる業務の適切な実施に資するよう、これらの業務の実施に係る収入及び支出の関係の明確化を図ること。

    色々書かれておりますが、更新手数料がかかることが明記されております。バス事業の更新手数料はありませんが、建設業や産業廃棄物収集運搬業などには更新手数料があるので、同程度くらいでしょうか。一般貨物自動車運送事業の許可取得時の登録免許税が12万円なので同額くらいはかかるのでしょうか。

    更新に関する経過措置

    更新に関する経過措置の規定について、既存の貨物自動車運送事業者の許可の取り扱いがどうなるのかみてみましょう。

    附則

    (一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可の更新に関する経過措置)

    第四条 この法律の施行の際現に旧法第三条又は第三十五条第一項の許可を受けている者は、施行日に第二条の規定による改正後の貨物自動車運送事業法(以下この条において「新法」という。)第三条又は第三十五条第一項の許可を受けたものとみなす。この場合において、旧法第三条又は第三十五条第一項の許可に条件が付されているときは、当該条件は、新法第三条又は第三十五条第一項の許可に付されたものとみなす。

    2 前項の規定により新法第三条又は第三十五条第一項の許可を受けたものとみなされる者の当該許可に係る施行日後の最初の更新については、新法第六条の二第一項中「五年ごと」とあるのは「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律(令和七年法律第▼▼▼号)附則第四条第一項の規定により第三条の許可を受けたとみなされた日から起算して二年を経過した日から七年を経過する日までの間において国土交通省令で定める日まで」と、新法第三十五条第五項中「五年ごと」とあるのは「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律附則第四条第一項の規定により第一項の許可を受けたとみなされた日から起算して二年を経過した日から七年を経過する日までの間において国土交通省令で定める日まで」とする。

    第1項はすでに許可受けている事業者は改正後も許可を受けているものみなされると規定されます。

    さらに第2項はそのみなし許可の事業者について、本改正施行日を基準として2年経過した日から7年を経過した日の間に更新日が定められる。

    全ての既存事業者が同じタイミングで更新申請となると事務処理が破綻してしまいますので、5年間で振り分けて申請手続きを行ってもらうようにするのでしょう。私の推測ですが、事業者番号の末番等を利用して各年度に振り分けるのではないでしょうか。

    新規定「適正原価」

    こちらもかなり影響大と思います。

    実質的は最低運賃である「適正原価」が新たに規定されます。

    こちらも全文引用します。

    (運賃及び料金に係る適正原価)

    第九条の二 国土交通大臣は、貨物自動車運送事業に係る運賃及び料金について、燃料費、全産業の労働者一人当たりの賃金の額の平均額を踏まえた人件費、減価償却費、輸送の安全確保のために必要な経費、委託手数料、事業を継続して遂行するために必要不可欠な投資の原資、公租公課その他の事業の適正な運営の確保のために通常必要と認められる費用であって国土交通省令で定めるものを的確に反映した積算を行うことにより、貨物自動車運送事業の適正な運営を図るための原価を定めることができる。

    2 国土交通大臣は、前項の原価(以下「適正原価」という。)を定めたときは、遅滞なく、これを告示しなければならない。

    (適正原価を下回る運賃及び料金の制限)

    第九条の三 一般貨物自動車運送事業者は、前条第二項の規定による適正原価の告示があった場合においては、自らが引き受ける貨物の運送に係る運賃及び料金が当該適正原価を下回ることとならないようにしなければならない。

    2 一般貨物自動車運送事業者は、前条第二項の規定による適正原価の告示があった場合において、自らが引き受ける貨物の運送について他の貨物自動車運送事業者の行う運送(自動車を使用しないで貨物の運送を行わせることを内容とする契約によるものを除く。)を利用するときは、その利用する運送に係る運賃及び料金が当該適正原価を下回ることとならないようにしなければならない。

    ①国交省は適正原価を定めることが可能で、定めた場合は告示される。

    ②一般貨物自動車運送事業者は自社の運送業務の運賃・料金が適正原価を下回らないようにしなければならない。

    ③標準運賃とは条文が別(第63条)なので、標準運賃が存続する可能性がある。

     

    適正原価はあくまで原価なので、利潤を考慮してないということになるようです。標準運賃については健全経営のための適正な利潤を加味されていますので、明確に役割が違います。が、標準運賃の告示期間を定めることができるので、廃止されるかも可能性もあります。もし、双方並立することになれば、諸般の事情で交渉力が乏しい事業者にとって朗報ではないでしょうか。

    少し危惧するのは、更新審査項目で義務化された契約書面等が確認されないかという点です。

    全ト協他業界団体は悪質事業者の業界退出を訴えてきました。「適正原価」を下回る価格での運送行為を悪質事業者と判断することで、更新許可を妨げる一要件とならなければいいのですが・・・

    ちなみに運送契約義務化に関しても行政処分基準が存在します。

    まとめ

    ここまでお読みくださりありがとうございました。

    更新の改正の動きがここまで早いとは正直思いもしませんでした。

    それだけ悪質業者を追い出せという声が多かったということでしょうか。

    私も現場の事業者様から色々なお話を伺いますが、実運送体制管理簿1つとっても非常に分かりづらいです。

    一般貨物自動車運送事業の中にある利用運送業なのか貨物利用運送事業者なのか、取引の上では判別できません。一度区分をしっかり整理していただきたいとおもいます。

    また、貨物自動車運送適正化事業実施機関の巡回指導はどうするのでしょうか。

    本改正に伴って実施機関のあり方も見直してもいいのではないかと考えます。

     

    ともかく改正は確定しました。これから省令にて詳細がつめられていくでしょうから、しっかりと注視してきたいと思います。

     

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