Gマークを取得するにはどうすればいい?今更聞けないGマーク認定制度の基本!
2024/05/01
記事をご覧いただきありがとうございます。
行政書士事務所名越オフィス 名越です。
今回は制度開始から20年余りが経過しましたGマーク認定制度について解説していきます。
GW明けごろには今年度の要綱が公表されると思います。
それに先駆けて概要を見ていきましょう。
改正があれば随時お知らせいたします!
目次
Gマークとは?
01
これからの貨物自動車運送事業において、安全性はますます重要な要素として位置付けられています。そのため、優良な事業者が選ばれる傾向が強まっています。公益社団法人全日本トラック協会は、2003年7月から「安全性優良事業所」認定制度を開始しました。この制度は、貨物自動車運送事業者の安全性を公正に評価し、認定することで、利用者がより安全性の高い事業者を選びやすい環境を整備することを目的としています。
この認定制度は、全国実施機関である全日本トラック協会が運営しており、事業者の安全性を徹底的に審査し、認定します。合格した事業者には「安全性優良事業所」として認定されます。認定された事業所の情報は公表され、利用者が安全性を重視した選択ができるようになります。
その結果、令和3年中の車両1万台あたりの重傷事故以上の発生件数では、認定事業所は0.9件に対して未認定事業所は6.3件と、大きな差が見られます。同様に、死亡事故発生件数でも認定事業所が0.5件に対して未認定事業所が2.6件と、認定事業所の方が明らかに安全性が高いことが示されています。
このように、「安全性優良事業所」認定制度の導入により、事業者の安全性が向上し、貨物自動車運送業界全体の安全性が確保されることが期待されます。安全性の高い事業者が認知され、選択されることで、交通事故やトラブルのリスクが低減され、安全な輸送環境が整備されるでしょう。また、事業者側も安全性を向上させるための取り組みを促進されることで、業界全体のレベルアップが期待されます。
少し評価機関側の堅苦しい文章ですね。
私の体感になってしまうのですが、多くの事業者ではGマーク認定一歩のレベルはあると思います。
あと必要なのは申請に対する気概でしょうか。(笑)
申請に必要な書類は揃っているのに、制度をよく確認していないからやらない、とおっしゃる方も多い印象です。
前にも書いたと思いますが、Gマーク取得で一番効果があるのは自社ドライバーです。
より安全性の高い事業者の可視化という点も大きいのですが、やはり自社のコンプラの可視化はドライバーにとってもプラスになります。
知識のある行政書士のアドバイスに従って形骸的に書類を作っても認定取得も可能ではあるんですが、それではなんの意味もありません。ただただ、行政書士に高い報酬を払っているだけです。
実りのある取り組みにするには管理者側の意識は大変重要になってきます。
申請資格と申請方法
02
申請資格は以下の4つの条件を全て満たす必要があります。
なお、申請年度の7月1日時点が基準日です。
1. 事業開始後(営業所開設後)、3年以上経過していること。
2. 配置する事業用自動車が5台以上あること。
3. 虚偽申請や不正手段により以前に申請が却下され、または、認定が取り消されてから2年以上経過していること。
4. 認定証やマークの偽造、変造、不正使用により是正勧告を受けた場合、是正が確認され、かつ偽造や変造に関する報告から3年以上経過していること。
申請方法は、以下の2つです。
1. Web申請
申請サイト:全日本トラック協会ホームページ
申請料:無料
申請受付期間:7月1日~同月14日
新規、更新A・C方式の場合は(方式は後述)、Web申請に加え、安全性に対する取組の積極性を示す資料提出が必要です。
2. 紙媒体(複写式申請書)
原則としてWeb申請を推奨しますが、電子申請が不可能な場合のみ受け付けます。
申請事業所の所在地の地方実施機関(各都道府県トラック協会)から申請書を入手してください。
申請料:申請費実費1,000円(税込)
申請に関する詳細は、地方実施機関(各都道府県トラック協会)にお問い合わせください。
私が実施機関に勤務していた間でこの複写式申請書で申請された事業所様は正直申し上げていらっしゃいませんでした。ほぼ100%Web申請です。
評価基準
03
評価項目に関する条件は以下の通りです。
1. 評価項目(100点)の評価点数の合計が80点以上であること。
2. 各評価項目において、以下の基準点数を満たしていること。
Ⅰ 安全性に対する法令の遵守状況: 32点(配点40点)
Ⅱ 事故や違反の状況: 21点(配点40点)
Ⅲ 安全性に対する取組の積極性: 12点(配点20点)
- 自認項目グループ1.運転者等の指導・教育: 基準点数1点
- 自認項目グループ2.輸送の安全に関する会議・QC活動の実施: 基準点数2点
- 自認項目グループ3.法定基準を上回る対策の実施: 基準点数1点
- 自認項目グループ4.その他の取組み: 基準点数1点
※ 各グループから基準点以上を必ず得点しなければなりません。
3. 法に基づく認可申請、届出、報告事項が適正になされていること。
4. 社会保険等への加入が適正になされていること。
評価は、これらの条件を満たす事業所に対して行われます。
評価方法(審査却下事項、法令遵守状況)
04
まず、大前提の要件として
①営業所・休憩施設・自動車車庫に未認可で変更なされていないか
②車両台数・種別に変更はないか
③届出事項(住所・名称・役員等)に変更はないか
④事業報告書・事業実績報告の未報告はないか
⑤自動車事故報告書の提出が必要な事案で未報告がないか
⑥運行管理者・整備管理者に変更はないか
⑦雇用保険・厚生年金保険・健康保険の加入対象者で未加入者がいないか
以上7点をクリアしなければなりません。申請前にクリアしましょう。巡回指導等で指導があった場合は、1か月以内に改善しましょう。
ここから各項目をみていきます。
Ⅰ.安全性に対する法令の遵守状況(配点 40 点・基準点数 32 点)
地方実施機関による巡回指導の結果を元に採点されます。
評価対象期間は申請年度前年の7月1日から申請年度の10月31日までの1年3か月間です。この期間に巡回指導が実施されない場合でも後日必ずあります。
配点項目は以下の通りです。
1 | 休憩・睡眠施設の適正な保守・管理 | 1点 |
---|---|---|
2 | 事故記録の適正な記録・保存 | 1点 |
3 | 運転者台帳の適正な記録・保存 | 1点 |
4 | 車両台帳の適正な整備・保存 | 1点 |
5 | 運行管理規程の制定 | 1点 |
6 | 運行管理者講習の適正な受講 | 1点 |
7 | 必要な運転者人員の確保 | 1点 |
8 | 過労防止に配慮した乗務割の作成、改善基準告示の遵守 | 3点 |
9 | 過積載運行を行っていない | 3点 |
10 | 点呼の適正な実施・記録・保存 | 3点 |
11 | 乗務日報の適正な記録・保存 | 1点 |
12 | 運行記録計の適正な活用・記録・保存 | 1点 |
13 | 運行指示書の適正な記録・保存 | 1点 |
14 | 乗務員に対する適切な指導監督の実施・記録・保存 | 1点 |
15 | 特定(初任・適齢・事故惹起)の運転者の特別指導の実施・記録・保存 | 2点 |
16 | 特定(初任・適齢・事故惹起)の運転者の適性診断の実施・記録・保存 | 2点 |
17 | 整備管理規程の制定 | 1点 |
18 | 整備管理者研修の適正な受講 | 1点 |
19 | 日常点検の適正な実施・記録・保存 | 1点 |
20 | 定期点検の適正な実施・記録・保存 | 3点 |
21 | 就業規則の制定・届出 | 1点 |
22 | 36協定の締結・届出 | 1点 |
23 | 労働時間・休日労働等の法令遵守 | 1点 |
24 | 健康診断の適正な実施・記録・保存 | 3点 |
25 | 運輸安全マネジメントの適切な実施、結果の公表 | 2点 |
全25項目・40点満点中32点を取る必要があります。
巡回指導については次の記事も参考にしてください。
評価方法(事故・違反状況、安全性の積極的取組)
05
Ⅱ.事故や違反の状況(配点40点・基準点数21点)
申請年度の11月30日以前の3年間における以下の2項目の実績を評価します。
① | 事業所の事業用自動車が有責の第一当事者となる、自動車事故報告規則第2条各号に定める事故がないか。(20点) |
② | 事業所に貨物自動車運送事業法に基づく行政処分の点数が付加されていないか。また、点数がある場合には、当該事業所に係る行政処分の累積点数は何点か。(20点) |
①は0点か20点しかありません。該当する事故が1件でも発生していた場合は不認定となります。
②は違反点数1点につき、1点減点となります。例えば、違反点数3点・30日車の車両停止処分を受けていた場合、3点減点の17点ということになります。『行政処分があった=不認定』ではありません。すでになされた処分を悔いても仕方ありませんので他の項目でしっかりと点数を積み上げましょう。
なお、Gマークのインセンティブとして、違反点数の付与期間は通常3年間のところ、2年で消滅します。
Ⅲ.安全性に対する取組の積極性(配点 20 点・基準点数 12 点)
この項目は書類審査となる項目です。大きな4つのグループに分かれており、その中の小項目から得点の狙える項目を選択し、書類を提出します。
グループ1 | 最低1項目・最大3項目を選択(9点満点) | 配点 |
---|---|---|
1 | 自社内独自の運転者研修等の実施 | 3(1) |
2 | 外部の研修機関・研修会への運転者等の派遣 | 3(1) |
3 | 定期的な運転記録証明書の入手による事故・違反実績の把握に基づく指導の実施 | 3 |
4 | 安全運行につながる省エネ運転を実施、結果に基づく個別の指導教育を実施 | 3 |
グループ2 | 最低1項目・最大2項目を選択(4点満点) | 配点 |
---|---|---|
1 | 事業所内での安全対策会議の定期的な実施 | 2 |
2 | 事業所内での安全に関する QC 活動の定期的な実施
| 2 |
3 | 定荷主企業、協力会社又は下請け会社との安全対策会議の定期的な実施
| 2 |
グループ3 | 最低1項目・最大2項目を選択(4点満点) | 配点 |
---|---|---|
1 | 特定運転者以外の適性診断(一般診断)の計画的受診 | 2 |
2 | 効果の高い健康起因事故防止対策(健診結果のフォローアップ・脳検査・心電計・SAS)の実施
| 2 |
3 | 車両の安全性を向上させる装置の装着 | 2(1) |
4 | ドライバー時間外労働時間 960 時間以下の先取り ※改訂されると予想してます | 2 |
グループ4 | 最低1項目・最大3項目を選択(3点満点) | 配点 |
---|---|---|
1 | 健康起因事故防止に向けた取組 (健康診断結果のフォローアップ・脳検査・心電計・SAS 以外)
| 1 |
2 | 輸送に係る安全や環境に関する認証や認定の取得
| 1 |
3 | 国が認定する第三者機関による運輸安全マネジメント評価の受審
| 1 |
4 | 過去 3 年以内の行政、外部機関、トラック協会による輸送の安全に関する表彰実績 | 1 |
5 | リアルタイム GPS 運行管理システムなどの先進的運行管理システムの導入 | 1 |
6 | 自社内独自の無事故運転者表彰制度又は省エネ運転認定制度の活用 | 1 |
昨年度に大きく改正され、全17項目に細分化され、選択式となりました。過去にはどうしても満点が獲れない事業所がでてきていたんですが、相対的に加点を狙いやすくなったと思います。
最後に
06
さて、いかがでしたでしょうか。概要のみのご紹介となってしまいましたが、Gマークをご興味がある企業様は一度、専門の行政書士にご相談してはいかがでしょうか?
今からでも今年度の7月の申請にきっと間に合います!
当事務所でも取得のサポートを行っております。
元適正化事業実施機関の巡回指導員でGマーク申請の元担当者の行政書士なので、取得・更新に向けて手厚くサポートさせていただきます!
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