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運送事業の定期健康診断!?巡回指導について元指導員の行政書士が解説します!後編

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運送事業の定期健康診断!?巡回指導について元指導員の行政書士が解説します!後編

運送事業の定期健康診断!?巡回指導について元指導員の行政書士が解説します!

2024/01/30

記事をご覧くださりありがとうございます。

行政書士事務所名越オフィス 名越です。

本日は前回の続き、巡回指導の38項目について解説したいと思います。

各大項目ごとにご紹介していきます。

前編は↓からご覧ください!

目次

    事業計画等(8項目)

    01

    1
    主たる事務所及び営業所の名称、位置
    届出事項。変更があれば届出しましょう。
    2
    車両の種別及び数
    事業計画(書面上)と実際の車両数に相違ないか確認しましょう。
    3
    自動車車庫の位置・面積
    備品等で駐車スペース狭くなっていないか、無認可で別の車庫を使用していないか確認しましょう。
    4
    休憩・睡眠施設の位置、収容能力
    備品等で狭くなっていないか、無認可で別の場所を使用していないか確認しましょう。
    5
    休憩・睡眠施設の保守、管理
    清潔に保たれているか、すぐに使用できる状態になっているか確認しましょう。
    6
    社名・役員等の届出事項
    社名・役員の変更等の届出事項に変更があれば届出しましょう。
    7
    白トラ利用等の営業類似行為
    さほど注意しなくても良い項目。口頭確認程度。
    8
    名義貸し
    前項同様さほど注意しなくても良いが、外注扱いのドライバーがいると指導されることがあります。

    この大項目については、それほど指導は多くありません。基本的に口頭ないし現地確認、実施機関によっては事前に写真を撮っておくよう指示されることもあります。

    指導で多いのは「未認可で別の車庫を使用している」「事業計画と実際の車両数が合わない」「役員の変更を届出していない」等です。

    営業類似行為・名義貸しに関しては、普通にしていれば何も気にすることはないです。ただし、運輸支局にタレコミがあって巡回指導に来るケースもあります。

    帳票整備、報告等(5項目)

    02

    1
    事故記録の作成・保存
    交通事故記録を作成し、再発防止等指導を行っているかどうかを確認します。事故記録と指導はセットで保存しましょう。
    2
    自動車事故報告書の提出
    自動車事故報告規則に基づく事故を報告しているか確認します。報告が必要な事故が起きた場合、運輸支局は警察から車両登録番号の照会を受けて把握していることがほとんどです。必ず報告しましょう。
    3
    運転者台帳の作成
    運転者を選任したらまず作成しましょう。その際、選任年月日の記載は忘れないように。役員の運転するなら台帳が要ります!退職日から3年間は保存義務があります。
    4
    車両台帳の作成
    最新の車検証のコピーを事務所に保管しましょう。2023年1月以降の新しい車検証は閲覧アプリで読み取った「自動車検査証記録事項」を保管してください。
    5
    事業報告書・事業実績報告書の提出
    事業報告書は毎事業年度経過後100日以内、事業実績報告書は毎年7月10日までに提出しなければなりません。報告忘れのないようにしましょう。

    特に多い指導は5の事業報告書・事業実績報告書の報告忘れです。毎年1回だけですので忘れがちですが報告しましょう。

    また、社長が運転者も兼ねている場合、運転者台帳が無いことも多いです。運転者は役員・試用期間・アルバイト問わず必要です。

    自動車事故報告書を出さなければならない事故で第一当事者である事故は、報告書の提出をもって監査端緒となり得ます。大抵の場合、事故発生時に警察から車両登録番号の照会があって、その一報で事故発生自体は把握していますし、事故捜査が終わった段階で通報も受けています。隠さずきちんと報告しましょう。

    運行管理等(13項目)

    02

    1
    運行管理規程の作成
    標準的な様式が運輸支局や各トラック協会のHP等から入手できます。
    2
    運行管理者の選任
    運行管理者が変更・退職したときは遅滞なく届出をしなければなりません。概ね2週間以内に提出すれば良いです。運行管理者が1人もいなくなってしまうと運送事業存続の危機です。運行管理者不在で止む無く事業休止した事例もあります。予備の人員確保は抜かりなく。
    3
    運行管理者研修の受講
    新任の運行管理者は選任年度に1回、以降2年度に1回運行管理者一般講習を受けなければなりません。最初に講習を受ける際、基礎講習の受講歴が無い方は優先して基礎講習を受講してください。
    4
    事業計画に則った運転者の確保
    車両数に対して運転者が極端に少ない場合のみ指導されます。
    5
    改善基準告示の順守、過労防止措置
    巡回指導では最低5名の2週間分の拘束時間・連続運転時間・平均運転時間等を確認します。基準については別記事にて詳しく解説します。
    6
    過積載運行の有無
    基本は口頭確認程度です。まれに日報に最大積載量以上の重量を記載している場合に指導を受けるかと思います。
    7
    点呼の適正な実施・記録保存
    原則労働時間を確認された方の同一期間の点呼簿を確認します。こちらも別記事にて詳しく解説したいと思います。
    8
    運転日報の適正な作成・保存
    確認する人・期間は点呼と同様です。
    9
    運行記録(チャート)の適正な記録・保存
    こちらも人・期間は同様です。アナログタコグラフの針飛びや交換忘れはかなり厳しく見られます。処分も重くなりがちなので、指導があった場合は早急に改善しましょう。
    10
    運行指示書の適正な作成・保存
    2泊3日以上の長距離運行(出発時・終了時の点呼がどちらも電話点呼となる行程を含む一運行)の場合のみ作成義務が発生します。運送業で最も難解かつ作成困難な書類です。指導が複数あるようでしたら他の項目から手を付けた方が良いです。
    11
    乗務員に対する安全指導の実施
    いわゆる国交省告示1366号に基づく12項目の指導教育状況を確認されます。指導計画と実施記録をセットで保存しましょう。
    12
    特定運転者に対する特別な指導の実施
    初任(事業用貨物自動車の運転経験が過去3年以内に無い方)・適齢(65歳以上)・事故惹起者(3年以内に重大な交通事故を起こした方)に法定の指導を実施しなければなりません。
    13
    特定運転者に対する適性診断の実施
    初任・適齢・事故惹起者に特定の適性診断を受けさせなければなりません。受診控えが無い場合は、受診機関で再発行してもらいましょう。

    この大項目が巡回指導のメインとなる部分です。3、5、7以降は全国的にも指導が多いです。

    特に運行管理者不在・点呼を全くしていない場合は速報事案となり、即時に行政監査となります。

    巡回指導に対応できることを謳っている行政書士でもこの部分の知識量の差が実力の差といってもいいかと思います。この項目は以後少しずつ別記事にて詳しく解説していきたいと思います。

    車両管理等(5項目)

    04

    1
    整備管理規程の作成
    標準的な様式が運輸支局や各トラック協会のHP等から入手できます。
    2
    整備管理者の選任
    運行管理者同様、変更・退職したときは遅滞なく届出をしてください。整備管理者が全くいなくなる事態は絶対回避しましょう。
    3
    整備管理者研修の受講
    選任された翌年度中までに初回を受講し、以後2年度ごとに1回受講してください。全国どこの運輸支局で受講しても構いません。
    4
    日常点検の実施
    労働時間を確認された方が乗務していた車両のに日常点検記録を確認されます。
    5
    定期点検整備の実施・記録保存
    1年分(12か月点検1回と3か月点検3回)を原則全車両確認されます。非常に処分が大きくなりがちな項目のためチェックも厳しいです。

    こちらも整備管理者不在の場合、即行政監査です。

    ここの項目で一番重要なのは定期点検記録です。行政処分が非常に重くなる部分で、例えば車両5両の営業所で経費削減目的で全車両3か月点検を全くしていなかったとします。この場合の処分基準は「定期点検未実施3回以上の車両数×10日車」となり、50日間の車両停止処分となります。

    たまに聞くのですが、「分解整備を伴わない点検は整備工場でなくとも自身でできる」という言説です。全部が間違いでもないのですが、私個人としては全く推奨できません。仮に整備不良事故が起こったとして、果たして整備した人間でどこまで責任をもって点検をしてるでしょうか。

    ですのできっちり整備工場で点検してもらいましょう。

    労基法等(4項目)

    05

    1
    就業規則の制定・届出
    従業員が10名以上の場合は届出義務があります。また、現行法にそぐわない内容は指導されますので、定期的に内容を見直しましょう。
    2
    36協定の締結・届出
    従業員が1名でもいる場合は締結・届出義務があります。また有効期限は1年間ですので、期限を迎える前に締結し、届出を済ましましょう。
    3
    運転時間を除く労働時間の違法性の有無
    勤務中に休憩時間を与えているか、連続出勤日数が法定を超えていないかはこの項目の対象となります。休憩時間は日報の記載の有無で判断されます。
    4
    健康診断の実施
    1年以内に1回、深夜従事者は6か月以内に1回の受診が義務付けられています。近年健康起因事故防止に重点が置かれていますので、漏れの内容に受診計画を立てましょう。

    就業規則について、近年では有給休暇の5日の取得義務付けになった際に、管理簿の作成も含めて指導が増えました。

    36協定も前回巡回指導で締結したまま放置されていた事もありました。1年ごとに忘れず締結してください。

    健康診断は年1回実施されていることが大半なのですが、健診当日に諸事情で受けられなかった方が未受診のままになっていたり、深夜従事者は全くしていないということが見受けられます。

    法定福利・運輸安全マネジメント(3項目)

    06

    1
    労災・雇用保険の加入
    巡回指導では、運行管理者(補助者)・整備管理者(補助者)・運転者の加入が分かる書類と直近の保険料納付書を確認します。加入対象者が1人でも未加入だと指導されます。
    2
    健康保険・厚生年金の加入
    前項同様、運行管理者(補助者)・整備管理者(補助者)・運転者の加入が分かる書類と直近の保険料納付書を確認し、1人でも未加入だと指導されます。
    3
    運輸安全マネジメントの制定
    運輸安全マネジメントを制定し、事務所もしくはHP等に掲示しましょう。

    とくにダンプ事業者で多い印象なのですが、外注扱いの運転者について、巡回指導では保険未加入という判定になります。運送業では雇用・派遣・出向のドライバーしか認められていません。運送業のみの視点でみれば違反ということになります。それ即ち処分に繋がるわけではないので、何ともいえないところです。この辺りは社労士にご相談されるのが良いかとおもいます。

    最後に

    07

    かなり長くなりましたが、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

    これだけでも巡回指導は一筋縄ではないんだなというのが伝わればと思います。

    当事務所では元巡回指導員の行政書士が運営しておりますので、巡回指導対応も万全です。ぜひお問い合わせお待ちしております。

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