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運送業界での受委託点呼と共同点呼について

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マイナー制度!受委託点呼について

運送業界での受委託点呼と共同点呼について

2024/04/08

記事をご覧いただきありがとうございます。

行政書士事務所名越オフィス 名越です。

2023年1月からいわゆるロボット点呼制度が導入され、乗務後点呼が自動化されました。

その中で忘れさられたかもしれない制度である受委託点呼(共同点呼)についてご紹介したいと思います。

 

目次

    受委託点呼とは?

    受委託点呼とは、ざっくりと言いますと同一敷地内や一定の距離以内にある別の運送会社間で点呼を行うというものです。

    A運送会社の運転者がB運送会社の営業所においてB運送会社の運行管理者に点呼をしてもらいます。

    当然例外規定や要件がありますので、全部の点呼を任せられるわけではありません。

    また、前述のロボット点呼による自動点呼と併用できない点にも注意してください。受託した点呼は必ず従来の方法で点呼を実施してください。

    要件①(委託者)

    まずは委託者(点呼をしてもらう側)の要件です。

    • 委託営業所の条件(次のどちらかに該当すること)
    1. Gマーク営業所
    2. 申請日前3年間及び申請日以降に、①所属する事業用自動車が自動車事故報告規則に掲げる事故を起こしていないこと。②点呼の実施違反に係る行政処分を受けていないこと。
    • 実施時間

      1営業日のうち連続する16時間以内であること。

    • 契約の範囲

       一つの営業所が複数の営業所に委託してはならない。

    • 実施場所
    1. 受託営業所または受託営業所の車庫で点呼を行うこと。
    2. 点呼の実施場所と委託営業所の車庫との距離が5km以内であること。 
    • 対象外運行
    1. 自動車事故報告規則第2条第5号イからヘまでに掲げるものを積載する運行
    2. 特別な許可が必要となる運行(特殊車両通行許可、制限外積載許可等)

    要件②(受託者)

    続いて受託者(点呼をする側)の要件です。

     

    • 受託者の条件

      Gマーク営業所

    • 受託点呼の実施者

      点呼実施者は、受託事業者において選任された受託営業所の運行管理者又は補助者。

    • 点呼実施者の選任数

    (受託営業所の車両数+委託営業所の受委託点呼の対象となる車両数)÷30+1

    どのような事業者であれば導入するメリットがあるの?

    要件については今見た通りです。

    制度の目的としては同一物流施設にテナントとして入っている運送会社同士や同一敷地内の共同配送を行う事業者間で行うことを想定しているのでしょう。

    例えば市場を出入りする小規模な運送会社同士で車庫をシェアすることで、お互いの運行管理者の配置人員を削減することができます。

    要件さえ整えば、導入できそうな気がしますが、実際ほとんど普及していないのではないかと考えます。

    原因としては、①受委託点呼実施のための契約書を締結しなければならないため、条件面での折り合いが付きづらい。②情報提供として委託者は受託者に対し、運転者の名簿・台帳、直近の健康診断結果、病歴・服薬の状況が分かる書類を提供しなければならず、さらに受託者は委託者のドライバーを指導する権限も与えられることになりますので、委託側の心理的ハードルが高いのかと思います。

    ・・・単純に制度自体の知名度の問題もありますが、、、

     

    では、私が考える最もこの制度を導入しやすい事業者はというと、

    ずばり、経営者を同じくする分社化した運送会社です。

    中小規模の運送会社で会社は分かれていて、従業員の所属も別々なんだけど、実質的にはほぼ一つの会社になってしまっているような会社が一番導入しやすいです。

    法人が二つになると、当然運行管理者は別々の方を選任し、運行管理体制をそれぞれ維持しなければなりませんが、制度導入で大きく負担を下げることができます。

    情報共有のハードルが低く、契約締結に関するのトラブルも回避できます。

    実際分社化した運送会社で営業所・車庫が同一敷地内のところでこの受委託点呼導入に協力させていただいたこともありますし、別の事例では、元請け運送会社が旗振り役となって、同一荷主の業務を行う下請け運送会社の点呼を一貫して行いたいというご相談も承ったこともあります。

     

    新たな改善基準告示が始まり、管理側の体制にお悩みの運送会社の方は是非一度このようなマイナーな制度も一考してみるのもいいのではないのでしょうか。

    当事務所では受委託点呼導入もばっちりサポートいたします。
     

    最後に


    今後、ロボット点呼は乗務前点呼実施に向けて、実証実験がなされます。冒頭で申し上げた通り、この受委託点呼制度はロボット点呼と併用できません。

    サイトによっては受委託点呼が廃止され、ロボット点呼が始まりましたと表現されていることがあります。

    それだけ知名度がないんだなと感じます。併用できないだけで共存はできます。

    推進されるのはロボット点呼でしょうが、現時点で導入にかかる費用面で言えば圧倒的に受委託点呼に軍配が上がります。

     

    私個人としてはなかなか面白い制度だなと思います。

    以上、また次回!ありがとうございました!

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